作詞:NOKKO

作曲:松任谷由実

プロデュース:亀田誠治


NOKKOが敬愛する松任谷由実が作曲を手がけたナンバー。フレンチポップを想起させるノスタルジックなメロディ、GS風のバンドサウンドとともに「私はどこへも行かないのよ Baby」という、愛らしくも切ない歌詞が伝わってくる。


NOKKO ー「私から松任谷由実さんにお願いして書いていただいた曲です。由実さんが書かれた「まちぶせ」(石川ひとみ)が好きだったこともあって、「フレンチポップスのような曲にしたいです」とお願いしたら、「まずNOKKOが歌詞を書いて」と言われて。由実さんに自分の歌詞をお渡しするのはとても緊張したのですが、娘が赤ちゃんだったころに書き留めていた言葉を歌詞にしてみたんです。なかなか外出できず、夏から秋へと季節が過ぎていく…そんなときの気持ちですよね。亀田誠治さんのアレンジも見事で、“日本から見たフレンチポップスのミステリアスな世界”という雰囲気の曲に仕上がりました。「ふふふ」というタイトルはユーミンさん作です。メロディが送られてきたとき、既に「ふふふ」というフレーズが入っていたんですよね」

作詞:NOKKO

作曲:水野良樹

プロデュース:松任谷正隆


水野良樹(いきものがかり)の作曲によるバラード。ドラマティックな旋律、松任谷正隆が手がけたクラシカルなアレンジ、世代を超えて希望を届けたという思い溢れた歌詞がひとつになった、普遍的なパワーを備えた楽曲だ。


NOKKO ー「水野さんが私の家に打ち合わせに来てくれたのは、去年(2017年)の春前。『どんな曲にしたいですか?』と聞かれ、『世代の違いを乗り越えられるような歌にしたい』と答えました。復興に対する思いもありましたね。震災直後は関心が集まるけど、時間が経つにつれて少しずつ静かになってしまう。その機運を高めるような曲になったらいいなと。その後、ピョンチャンオリンピックのテーマソング(テレビ東京系ピョンチャンオリンピック2018中継テーマソング)のお話をいただいて、雪や白い色を思わせる言葉書き足しました。ただ、歌詞のテーマ自体は変わっていないんです。前を向いて頑張る人がいて、応援する人がいて、ともに想いを分かちあう人がいて、全部が結びついている…。そのテーマは、人生を凝縮したような時間を生きているアスリートにもつながると思うので」

作詞・作曲:NOKKO


1970年代のリズム・アンド・ブルース、ソウルミュージックを現代に蘇らせるサウンドメイクとNOKKOのエモーショナルなボーカルが融合。“Let’s go to be a TRUE WOMAN”というメッセージを高らかに響かせるタイトルチューンだ。


NOKKO ー「キャロル・キングが書いてアレサ・フランクリンが歌った『(You Make Me Feel Like)A Natural Woman』、チャカ・カーンが歌った『I’m every Woman』のような女性賛歌をこのタイミングで歌いたかったんです。リズム・アンド・ブルースは私の根本にある音楽のひとつ。特にアレサ・フランクリン、チャカ・カーン、ロバータ・フラックなどはすごく好きですね。彼女たちのような太い声は出せないんだけど、ずっと憧れています。冒頭の歌詞(“キッチンに鏡置いて 微笑みの練習しているのよ”)は私が実際にやっていたことなんですよ。子供が小さかった頃、あまりにも自分のことが後回しになって、せめて鏡を見たいなと思って。考えてみると私は、ずっと女性をテーマにした歌を書き続けているんですよね。恋愛から通勤電車まで題材はいろいろありますが、いつも女性のことを意識していたんだなって。やっぱり、女の人がハッピーなほうがいいですからね。『TRUE WOMAN』は、私と同世代の女性はもちろん、娘がこれから辿るはずの時間に向けて歌っているところもあります」

作詞:NOKKO

作曲:佐橋佳幸


ピアノ、アコースティックギター、フリューゲルホルンなど生楽器の美しい響きが印象的なミディアムナンバー。“忙しい時期を超えた女性が自分を取り戻す”というストーリーを丁寧に紡ぎ出すボーカルも素晴らしい。


NOKKO ー「ヤマハのクラビノーバのウェブムービー・イメージソングとして書いた曲です。子育てに忙しい時期を超えた女性が自分を取り戻すストーリーが欲しいということで、“なくした本を 街角で見つけた”という歌詞から始まる曲になりました。この曲も女性に向けられているし、まさに今の自分にぴったりとくるテーマでしたね。互いに人生の通過点を見届け合ってきた同世代の方々は本当に貴重な存在で、その時は通りすがりの人に思えても、結局ずっと一緒に年をとっていくんだなと思います。

 作曲は佐橋佳幸さん。佐橋さんは80年代の音楽シーンをともに駆け抜けた間柄なのですが、当時、私はREBECCAで活動していて、佐橋さんはたくさんアーティストのサポートギタリストとして活躍されていたので、一緒に曲を作ったことはなかったんです。ずっと“素晴らしいギタリストだな”と思っていたので、今回初めてご一緒できて嬉しかったですね」

 

作詞・作曲:NOKKO


ハウスミュージックDJのDJ GOMIが編曲を手がけたダンスチューン。90年代のハウスを現代的なダンストラックに昇華させたサウンドのなかで、“ときめきを残すことを忘れないで”というメッセージを込めた歌が広がる。 


NOKKO ー「90年代はハウスミュージックのテイストを取り入れた楽曲をやっていたんですけど、それをもう一度やってみたかったんです。セルフカバーアルバム(『NOKKO sings REBECCA tunes 2015』で『MOON』をカバーしたときにBPM125くらいの4つ打ちでアレンジしたんですが、それもかなり良くて。『この道』は、その延長線上にある楽曲ですね。

 この歌詞を書いたのは、ふと「服は黒しか着てはいけない」と言われたらどんな気持ちだろうと想像したことがきっかけでした。“色を選べないって、すごくつらいな”と思って。たくさんの色から黒を選ぶことと、黒しか選べないのはぜんぜん違うじゃないですか。同じ時代の人間なのに、辛い状況に置かれた人たちを思うとかわいそうで仕方なくなるんです。平和を重んじる国に生まれて本当に幸せだと思いますね」

作詞・作曲:荒井由実


スムース・ジャズの第一人者フィリップ・セスをフィーチャーし、名曲「翳りゆく部屋」をカバー。ピアノトリオのシンプルで奥深い演奏のなかで、感情豊かなボーカルを堪能できる。


NOKKO ー「松任谷由実さんは私にとって特別な存在です。哀しみを美しく描き、生と死、愛と死を表現してきた方だし、音楽の作り方もすごく緻密。しかも、そのクオリティをずっと保てる環境があるのもすごいなって。たくさんのミュージシャンの母ですよね。魂に訴えかけるようなシンプルなアレンジで『翳りゆく部屋』を歌ってみたくて、ニューヨークで親交のあったフィリップ・セス(スムース・ジャズのシーンで80年代から活躍を続ける鍵盤奏者)にお願いしました。これまでにも何曲か一緒にやったことがあるのですが、今回も素晴らしい演奏でしたね。彼が持っている音楽的クオリティでユーミンさんの名曲を歌えたのは、すごく嬉しいです」

作詞・作曲:NOKKO


ブルージーかつダイナミックなギターサウンドを軸にしたロックチューン。日常の幸せを描き出すパワフルなボーカルからは、ロックシンガーとしてのNOKKOの魅力が真っ直ぐに伝わってくる。


NOKKO ー「『恋に堕ちたら』をREBECCAで作ったのがあまりにも楽しかったので、是ちゃん(是永巧一)にギターをお願いしました。ノリさん(高橋教之)のベースが私の歌を支えて、屋敷豪太さんの訛ったリズムで歌うのも楽しくて。みんなNOKKOのDNAですね。特に是ちゃんのギターはすごかった! ピアノで曲を書いたときは、もっと鄙びた雰囲気をイメージしていたんですが、是ちゃんがマシンガンみたいなギターを弾きはじめたので「どうぞやってください!」という感じになって(笑)。ブルースをベースにしたカッコいいロックナンバーになりましたね。

10代の頃はロックがあまり好きじゃなかったんです。「うるさいな。これはマトモじゃない」って。でも、小さい頃からやっていたバレエの穴を埋めてくれたのがロックバンドだったんですよね。ピンクフロイド、ケイト・ブッシュなどが好きだったんですが、ちょっと狂気を感じるというか。バレエもロックも、私にとっては日常のなかの狂気だったんです。大人になるとやってはいけないことが増えるので、危ないものに対する感度は高くなっているかもしれないですね(笑)」

作詞:NOKKO

作曲:REBECCA


REBECCAの17年ぶりの新曲としてリリースされたシングル。キャッチ―なメロディ、きらびやかなシンセサウンド、恋の美しさと危うさをテーマにした歌詞を含め、“これぞREBECCA!”と快哉を叫びたくなるポップ・ロック・チューンだ。


NOKKO ー「最近は脳科学で恋のメカニズムが解析されていて、そういう話を聞くたびに“やっぱりそうなのか!”という気持ちになるんですよね。昨日まで冷静だった人を『たとえ世界中を敵に回したても、この想いは変えられない』という状態に陥れてしまうのだから、恋はやっぱりすごいなって。だからこそ恋は歌になりやすいし、私もいっぱい書いて歌いました。『恋に堕ちたら』を制作していたときも、恋におちてどうにかなってしまいそうな人の背中を押したいと思ってたんですよ。『甘い 甘い 夢を 溶かして欲しいの/サヨナラが 少しだけ にがくないように』という冒頭の歌詞も、かなりヤバイじゃないですか(笑)。こういう狂気にも似た恋の歌には、REBECCAのサウンドがよく似合うんですよね。

 実は私自身、80年代のREBECCAの映像は再結成の横浜アリーナ公演(2015年8月)まで一度も見たことがなかったんですが、離れていた時間があったからこそ、いまはすべてが愛おしく感じられて。「すべてが自分だったんだな」と思えるようになったんですよね。「恋に堕ちたら」はメンバーと一緒に作り上げたのですが、「これぞREBECCA」と感じてもらえるような曲にしたいと思っていました」

作詞・作曲:荒井由実


アルバム「COBALT HOUR」(1975年)に収録された名曲をカバー。終盤にクワイアのコーラスが加えられるなど、ゴスペルのテイストを感じさせるアレンジに仕上がっている。ピュアなエモーションをたたえたボーカルはまさに絶品。


NOKKO ー「R&Bの要素も感じられるし、しかも素晴らしい日本語の歌になっていて、本当に素晴らしい曲だなと思います。この曲を初めて聴いたのは、小学校6年生か中学1年のとき。ロックに目覚める前、バレエのレッスンに通っていた頃ですね。この曲が持っている普遍性を今の自分の歌で表現したいと思い、カバーさせていただきました。屋敷豪太さんのハイハットが止まる瞬間がたまらなく優しいし、曲の終わりに「仰げば尊し」がクワイアの合唱で入っているのも気に入っています」

作詞:NOKKO

作曲:REBECCA


REBECCAのシングル「恋に堕ちたら」をセルフカバー。アコースティックギター、ピアノ、ストリングスを中心としたオーガニックなサウンドのなかで、伸びやかな歌声が響き渡る。


NOKKO ー「アコースティックバージョンでセルフカバーしようと言い出したのはGOHさん(アルバムのプロデュース・サウンドエンジニアを手がけたGOH HOTODA氏)なんです。最初は「どうなるのかな?」と思っていたんですが、わたなべゆうさんのアコースティックギターが素晴らしくて、すごく好きな形に仕上がりました。REBECCAの曲はスロウにしても良いものが多いんですよね。メロディがしっかりしているし、歌詞のなかにフックになる言葉が入っているので」




文:森朋之 (M1~10全て)